ベトナム中南部のカインホア省で発生した歴史的な豪雨と洪水のあと、被災地では野菜が不足し、価格も大きく上がっています。こうした状況のなか、省青年団(Tỉnh đoàn)とベトナム祖国戦線カインホア省委員会が中心となり、被災住民を支えるために「野菜0ドン(=無料)ギャラリー」が各地で立ち上がりました。
豪雨後、野菜が手に入りにくい被災地
11月下旬、ディエンカイン(Diên Khánh)県やディエンディエン(Diên Điền)など、洪水の被害が大きかった地域では、畑が水没し、多くの家庭菜園が全滅しました。市場では生鮮野菜の流通量が減り、価格が普段より高い状態が続いています。
そうした地域の公民館前や役所跡地などに、青年団と祖国戦線が協力して「野菜0ドン」の仮設市場が設置されました。並べられているのは、空芯菜、からし菜、モロヘイヤに似たモントイ(mồng tơi)、ラウゴット(rau ngót)、ジャガイモ、トマトなど、日々の食卓に欠かせない食材ばかりです。すべて無料で配布され、被災した住民は誰でも受け取ることができます。
泥だらけの道を越えて届く「一束の野菜」
ディエンラック(Diên Lạc)では、早朝から青年ボランティアと祖国戦線の職員が集まり、コンテナいっぱいの野菜を種類ごとに並べ、簡易の市場をつくりました。洪水の泥がまだ残る道路を歩いて、住民が次々と列に並びます。
家の片づけを終えたばかりで、手や服に泥が残ったままの人も多く見られますが、配られた野菜を抱える表情はどこかほっとしたようです。ある高齢女性は、家が深く浸水し、数日間は十分な食事も取れなかったと振り返りながら、「久しぶりに新鮮な野菜をもらえて、本当にうれしい」と涙ぐみながら語ったといいます。
ディエンラム(Diên Lâm)に設けられた会場でも、入り口に掲げられた「野菜0ドン」の看板の下で、きれいに仕分けされた野菜が整然と並びました。市場では野菜が品薄で値段も上がるなか、「無料で、しかも安全な野菜を受け取れるのはとてもありがたい。一束一束が、誰かの思いやりそのものだ」と話す住民の声が紹介されています。
1日で14トンの野菜 6地域へ届ける
11月26日には、この取り組みによって合計14トンもの野菜が、ディエンラム、ディエンカイン、ディエンラック、ディエンディエン、そしてニャチャン市北部・西部(Bắc Nha Trang、Tây Nha Trang)の各地域に運び込まれました。届けられた野菜は、空芯菜、青菜、モントイ、ラウゴット、ジャガイモ、トマトなど、多くの家庭で使いやすいものが中心です。
カインホア省祖国戦線副議長であり、省青年団書記も務めるフイン・フー・フック氏は、「洪水で家庭の菜園がほとんど全滅し、野菜の供給が不足している。安全で安定した野菜を届けることは、生活再建の初期段階で非常に重要だ」と述べ、この活動を今後も継続していく考えを示しました。
生活の支えであり、市場の安定にもつながる試み
「野菜0ドン」の取り組みは、被災世帯が当面の食費負担を軽くできるだけでなく、地域全体の野菜価格を落ち着かせる効果も期待されています。洪水後、野菜価格の高騰に悩む家庭が増えるなか、無料配布によって市場への供給量が増えれば、価格の急激な上昇を抑えることにもつながります。
省指導部もこの取り組みを高く評価し、周辺省・周辺地域からの仕入れや企業・団体からの寄付をさらに募り、扱う野菜の種類を増やすことを検討しています。また、同じタイミングで実施されている「価格安定」販売所など、他の支援策とも連携しながら、被災地の生活基盤を少しずつ立て直していく方針です。
フイン・フー・フック氏は、「野菜0ドン」の場は、単なる配布拠点ではなく、地域の人びとが顔を合わせ、励まし合う場所でもあると強調しています。テントの下で交わされる「無事だった?」「片づけは進んでいる?」という何気ない会話が、人々の不安を少しずつほぐし、コミュニティのつながりを取り戻すきっかけになりつつあります。
この「野菜0ドン」ギャラリーは、洪水被害からの復旧が続くカインホア省で、生活支援と地域の連帯を同時に生み出す象徴的な取り組みとして広がりつつあります。
※引用元:VOV(2025年11月28日) ※本記事は元情報を翻訳した内容であり、情報が変更される可能性があります。
