ホーチミン市レタントンに無印良品の国内最大店舗 東南アジア3番目の規模で再オープン

ホーチミン市レタントンに無印良品の国内最大店舗 東南アジア3番目の規模で再オープン

無印良品(MUJI)ベトナムは、ホーチミン市1区レタントン通りの旗艦店を改装・拡張し、再オープンした。売場面積は約3,300平方メートルとなり、ベトナム国内で最大、東南アジアでも3番目の規模の店舗となる。今回のリニューアルは、MUJIがベトナムに進出してから5周年の節目にもあたる。

5周年を迎えたベトナム展開と新コンセプト

レタントン店は、2020年11月27日にベトナム第1号店として開業して以来、同国におけるMUJIの象徴的な店舗となってきた。今回の改装により、売場面積は従来の約1.5倍に拡大した。

MUJIベトナムは、リニューアルを機に「日本で設計し、ベトナムの暮らしと調和する」というコンセプトをあらためて打ち出した。日本発のシンプルで機能的なデザインを土台にしながら、ベトナムの生活様式や住環境に合わせて商品や売場を調整し、日常生活に自然になじむ提案を目指している。

体験型の売場づくり MUJI LaboとMUJI Cafe

拡張後のレタントン店は、単に商品の陳列スペースを増やしただけでなく、「体験できる店舗」としての機能を強化している。

店内には、実験的なファッションラインを紹介する「MUJI Labo」のエリアが設けられている。伝統的な縫製技術と責任ある素材選びを組み合わせ、シンプルで長く着られるデザインを提案するゾーンだ。

また、2階には「MUJI Cafe」が併設されている。市中心部の通りを見渡せる開放的な眺望が特徴で、買い物の合間にくつろげる場としてだけでなく、街の景色とともにMUJIの世界観を味わえる空間となっている。

MUJI カフェからはサイゴン中心部の一等地の通りを見渡す景色を楽しめます。
MUJI カフェからはサイゴン中心部の一等地の通りを見渡す景色を楽しめます。

開店記念の大規模プロモーション

再オープンに合わせ、MUJIベトナムは年内最大規模のプロモーションを実施している。

オープンから17日間にわたり(2025年11月28日〜12月14日)、数百点の選定商品を対象に値下げを行うほか、11月28日〜12月14日の期間中、100万ドンを超える買い物をした顧客に対しては、20万ドン分の買い物券を進呈する企画も行っている。来店のきっかけを増やし、新しい店舗を体験してもらう狙いがある。

ローカルに根ざした商品開発とサプライチェーン

MUJIベトナムは、進出当初からベトナムの生活文化や住まい方の調査を続けてきた。暮らし方、インテリアの配置、家族構成、バイクを中心とした移動手段など、生活の特徴を細かく分析し、それに合わせて商品のサイズや素材、機能を調整している。

同社はまた、ベトナム各地の農家や国内サプライヤーと直接協力し、安定した品質の国産原材料を調達している。こうした取り組みから、ベトナム市場に特化したオリジナル商品も生まれている。代表例として、ゴムの木を活用したダイニング・リビング用家具シリーズ、バイク利用者向けのレインコートやヘルメットをそろえた「MUJI to BIKE」コレクション、地元農産物を活かした食品などが挙げられる。

永岩氏「日本のデザインをベトナムの暮らしに溶け込ませる」

MUJIベトナムの永岩哲也・ジェネラルディレクター(代表取締役)は、レタントン店の再オープンはベトナムにおけるMUJIの新たな節目であり、「ベトナムの生活と調和した日本のデザイン」という精神を示す機会だと強調した。

MUJIベトナムのジェネラルディレクター永岩哲也氏がMUJIレタントン店のオープニングイベントで講演しました。
MUJIベトナムのジェネラルディレクター永岩哲也氏がMUJIレタントン店のオープニングイベントで講演しました。

永岩氏はオープニングイベントで
「日本のデザインをそのまま持ち込むのではなく、ベトナムの生活を理解し、適応させ、暮らしの中に溶け込ませていくことが私たちの役割です。生活の特徴を研究し、農家や国内サプライヤーと協力しながら、ベトナム市場向けの商品開発を続けることで、良い価値観を広め、すべての人々の豊かな未来づくりに貢献していきたい」
と述べ、ベトナム社会とともに持続的な発展を目指す姿勢を示した。

17店舗体制から、ダナン出店・20店舗へ

MUJIベトナムは、実店舗のネットワーク拡大も着実に進めている。レタントン店の開業から5年で、ハノイ、フエ、ホーチミン市などの主要都市に計17店舗を展開するまでに拡大した。

今後は中部の中核都市ダナンへの出店も計画しており、2026年までに国内の小売店舗数を20店規模にまで増やす方針だ。地方都市への展開を進めることで、ベトナム各地でMUJIブランドに触れられる機会を広げていく考えだ。

世界でも高い水準の出店ペース

店舗網の拡大スピードも注目されている。2024年9月から2025年8月までの会計年度における店舗数の増加ペースは、MUJI日本、MUJI中国に次いで世界3位となった。ベトナム市場での支持の高さと、同国に対する長期的なコミットメントを示す結果と言える。

オンライン購入が広がる中でも、商品を実際に見て触れながら選べる大型店舗の価値は失われていない。生活に寄り添う商品提案とローカルに根ざした取り組みを組み合わせたMUJIベトナムの戦略は、ベトナムの小売市場の今後を考えるうえでも、ひとつのモデルケースとなりそうだ。

※引用元:Cong Thuong(2025年12月04日)
※本記事は元情報を翻訳した内容であり、情報が変更される可能性があります。